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Unforgettable


忘れえぬ人は、私の前をご夫妻で颯爽と通り過ぎて行きました。遠い日、日本橋三越の伝統工芸展の会場でのこと。12月28日は高峰秀子さんの一周忌です。私が訃報を知ったのは、元日の新聞でした。平成23年のスタートは、この気持ちから?辛すぎると思いました。私にとって”高峰秀子さん”は女優さんというよりエッセイスト。エッセイストの素顔に触れたのは、三十代の初めに買い求めた”  いいもの見つけた” ”コットンが好き”特に好きな文章は”いいもの見つけた”のくず入れの章。最初は高峰さんの、生活の仕方・趣味のよさに惹かれて、読んでいたのですが、そのうち、頭の回転のよさ、軽妙な文章の虜になりました。書かれた本から察するその人柄は、六十歳を過ぎ、家を小さく建て替え、生活を縮小し、余分なものを処分。ちょうど今の私の年齢です。八十歳を過ぎ、”にんげん住所録”を最後に執筆活動をやめ、世田谷美術館に、梅原龍三郎、他計11点の絵画を寄贈。この後ご本人からの発信は少なく、私は高峰さんのことを考えることが、多くなりました。そして新刊が出なくなってから、夫のクリスマスプレゼントは、古書店で探し求めた高峰さんの、昔出版された本でした。このところ、高峰さんの本が復刻され、書店に並んでいます。しかし、新しい文章にお目にかかれない寂しさを、一層強く感じてしまいます。高峰秀子さんは、私の忘れえぬ人です。

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